火星に住むつもりかい?

伊坂幸太郎の小説。

「安全地区」に指定された仙台を取り締まる「平和警察」
その管理下、住人の監視と密告によって「危険人物」と認められた者は、衆人環視の中で刑に処されてしまう。
不条理渦巻く世界で窮地に陥った人々を救うのは、全身黒ずくめの「正義なよ味方」、ただ一人。
ディストピアに迸るユーモアとアイロニー。

これが文庫本の裏表紙に書かれていた「あらすじ」です。
昔の五人組制度を拡大したものでしょうかね、この平和警察は。
大規模テロを阻止するために有効だとしても、そんな大規模テロは頻繁に起こるはずが無いわけで。
となると、存在感を維持するために、デマやら冤罪やらでも、それらしきタレコミがあれば犯罪者に認定して、処罰するところ。
本作品の仙台で初の処刑された医師の早川氏は、その妻に妬みを持った人による嘘のタレコミによるものだったのです。

そんな時、人々はどう思うか。
その人に持っていた印象を警察の発表や噂話で上書きされ、「良い人にしか見えなかったのに」「信じられない」と首を傾けながら、「人は見かけによらない」と嘆く。「濡れ衣だ!」とは思わずに。

確かに松本サリン事件でも、報道された後の皆の反応は上記の通りのだったでしょうし。

黒ずくめの正義の味方は、最愛の妻がなくなった後に、生前妻が言っていた言葉を思い出し、秘密警察に歯向かうことを決めます。
その言葉は「見せしめにして、ギロチンをやるような側を信じたら大変だよ」

だけど、全員を助けることは出来ません。
彼の祖父は、当選した宝くじで借金苦の囲碁仲間を救いますが、その話を聞いた近所の人たちの金の無心に応えられず、偽善者呼ばわりされたのを苦にして自殺します。
そして父は、怪我で入院した病院が火災に遭い、同部屋の患者を救いますが、自分の父のことを思い出したのか、他の患者を救おうと再び病院に戻りましたが、あえなく焼死します。

なので救い出す人を決めます。
それは彼の店の常連客とその家族。
善行ではなく、営業活動の一環だと。

登場人物の大学生の言葉が印象に残りました。
「偽善だ偽善だと叫ぶ人は、単に良さそうな人が鬱陶しいだけなんじゃないか、って」
評論家気取ってやらないより、行動する方が尊いです。
行動することは、踏み出す勇気がいり、その結果に責任を取らなければならないけれど、とても立派なことなのだから。
私も人に流さられず、自分て決断し、実行していく人間になりたいです。
現在46歳。
ようやく人生の折り返し地点(笑)に来た今、強く思った次第。
テーマの割に、読後の気持ちが重くならなかったのは、流石伊坂幸太郎だと思いました!
スポンサーサイト

コメント


管理者のみに表示